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【報告: 2025年9月9日】COISAN 夏季セミナー~国立大学の留学生受入・支援、その先へ~

  • coisan
  • 9月15日
  • 読了時間: 4分

2025年夏、国立大学留学生指導研究協議会(COISAN)の主催、宮崎大学の後援により、COISANとして初めて地方開催となる「COISAN 夏季セミナー」が実施されました。本セミナーはZoomと会場をつないだハイブリッド形式で行われ、全国の国立大学から教職員30名(オンライン参加含む)が集まりました。セミナーでは、留学生の受け入れから修学支援、卒業・就職に至るまでの包括的な支援体制について、活発な議論が交わされました。


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プログラム内容

開会挨拶(COISAN代表理事 有川友子氏)と、モデレーター・伊藤健一氏(宮崎大学)による開催趣旨の説明に続き、以下の二部構成で進行しました。


第1部:パネルトーク

テーマ:「入口」「教育」「出口」から見る留学生支援の現状と課題

  • パネリスト:

    • 瀬尾匡輝氏(茨城大学)

    • 村上和弘氏(愛媛大学)

    • 米本和弘氏(東京学芸大学)

  • モデレーター:伊藤健一氏(宮崎大学)


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「入口」「教育」「出口」の3つの視点から、留学生支援の現状と課題について検討が行われました。

  • 入口:入試制度や募集方法の工夫、学部生と大学院生の受け入れ傾向の違い、日本語教育の必要性と履修意欲の低下、英語科目中心のカリキュラムによる日本語力不足の懸念などが議論されました。

  • 教育:日本語科目の単位化・補習授業のあり方、学部・大学院間での支援体制の差異、地域社会や日本人学生との交流の重要性が強調されました。

  • 出口:教員免許取得を目指す留学生への支援、日本国内での就職の難しさ、国籍や制度上の課題、地域企業との連携によるインターンシップやマッチング支援、個別のキャリア支援の必要性が取り上げられました。


現場に根ざした実践的な意見が交わされ、参加者の理解を深める機会となりました。


第2部:意見交換

参加者は4つのグループに分かれて意見交換を行いました。オンライン参加者のグループは信州大学の仙石氏がファシリテーターを務め、会場参加者は3名のパネリストがそれぞれ担当しました。


各グループでは、留学生の受け入れや教育、就職支援に関する課題のほか、英語授業の担当者不足やインセンティブの必要性、学部英語コースの運営、大学内の方針の不一致、地域定着の可能性など、幅広いテーマが話し合われました。オンライン参加者のグループでは、メンタルヘルス支援、多言語対応、宗教・文化的配慮、生成AIの活用などが話題となり、各大学の具体的な取り組みも共有されました。多様な視点からの意見交換を通じて、共通課題と今後の可能性が見えてくる有意義な時間となりました。


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キャンパスツアー

セミナーに先立ち、午前中には宮崎大学木花キャンパス内の外国人留学生支援関連施設(イスラーム文化研究交流棟〈イスラミックセンター〉、国際交流宿舎など)を見学するキャンパスツアーが実施され、6名が参加しました。


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参加者アンケートから見える成果と期待

  • 満足度:参加者の91.7%が「非常に有意義だった」と回答し、セミナー全体への高い評価が得られました。

  • 有用性:第1部・第2部ともに「非常に有用だった」「有用だった」との回答が多数を占め、特に「出口」支援に関する事例(茨城県留学生就職促進コンソーシアム、宮崎大学の地域連携)が注目されました。

  • 交流の価値:他大学との情報交換が「大変有意義だった」との声が多く、今後の実践に活かしたいという前向きな意見が寄せられました。

  • 今後の希望テーマ:

    • 生成AIの活用

    • 特別な配慮を必要とする留学生への対応

    • 健康・メンタルヘルス支援

    • 教職員のスキル・モチベーション向上

    • 理工系・文系学生への支援の違いと工夫


参加者からは、「アットホームでありながら新たな情報を得る機会となった」「地方開催ならではの視点が参考になった」といった声もあり、COISANの今後の活動に対する期待が感じられました。


まとめ

今回のCOISAN夏季セミナーは、国立大学における留学生支援の「現在地」と「これから」を見つめ直す貴重な機会となりました。「入口」「教育」「出口」という三つの視点から、制度・実践・理念の交差点にある課題が浮き彫りになり、各大学の現場からの知見が共有されました。多様な立場の教職員が一堂に会し、地域性や制度的制約を超えて、留学生が「学び、暮らし、働く」ための持続可能な支援のあり方を模索する姿勢は、今後の高等教育の方向性を示唆するものです。地方開催という新たな試みのもと、宮崎の地で交わされた対話は、COISANの活動に新たな広がりをもたらしました。


このセミナーは、今後「夏の定例行事」として継続開催される予定であり、国立大学間の連携をさらに深め、留学生支援の未来を共に創る場として発展していきたいと思います。


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